私の感情労働従事体験記(コールセンター)

私のコールセンター人生は、ここから始まりました。

オペレーター編

私が入った会社は、ベンダーと言われるテレマーケティングの専業会社です。クライアント企業からのオペレーション業務を請け負う会社です。入社時はそんなことすらよく分かっていませんでした。

私の仕事は、金融商品のセールスです。DMを送ったお客様に発信して案内し契約をしてもらう。

導入研修から実技試験を経て、ブースに入り業務のデビューとなります。

守秘義務があるので細かい事は省きますが、なかなか成約が取れない。同期入社の周りのオペレーターはあり得ないペースで成約を取るわけです。全然話せない。周りは取る。焦る。余計に話せない。周りは取る。更に焦る。自分だけ取れないと苦しい。ですが、ログ聞きといって、取っているオペレーターの通話を聞いてメモしたり、マネして練習したりといろいろと手は打てるので、そのうち取れるようになって来るもんです。

オペレータ時代に感じたこと

私は2年半、発信のセールスオペレーターをやりました。そこで感じたことを、以下羅列してみます。

コールセンターという業種について

  • コンプライアンスや知識、トークスキルなど憶えることがかなり多い。
  • 理由はありますが、閉鎖された空間、働く上で規則が多い。
  • ミスが許されない。
  • 権限は一切ないが、責任はけっこう追求される。
  • 仕事は全て結果論で判断される。
  • オペレーターには、会社のビジョンや方向性などが共有されない。
  • オペレーターのことは信用されていない。
  • 離職者が多い。バンバン入社しガンガン辞める。
  • オペレーター同士の飲み会厳禁(私が在籍した会社はですが)。

未経験だと外から中が見えにくい業種です。私が面接で言われたのは「金融商品の提案です」これだけ。私の場合はとにかく働かなきゃという苦しい事情もあり、また、何を質問したらいいのかもわからなかったのですんなり入社しました。あとになって気付いたのですが、会社がクライアント企業との守秘義務もあるので、採用面接でも詳しい事が話せない、という事情もあったようです。つまり、採用して研修に入らないと伝えられない事が多い、と言えばわかりやすいでしょうか。だから面接時の軽さと入社後の重さのギャップが大きく、採用のミスマッチもあるのだな、と思いました。

オペレーターについて

  • 仕事は共同作業ではなく個人プレー。
  • 直属のスーパーバイザーが上司。
  • 働いている人がとてもネガティブでセルフイメージがとても低い。
  • 内面的には優しい人が多い。
  • 抑圧されガス抜きが出来ないので、とてもストレスが溜まっている。
  • そのせいか、体調を崩して辞める人も多い。

セールスのオペレーターは自己完結の業務です。対面営業のように上司が同行して一緒にクロージングをかける、といったことはありません。途中で応対を代わることがないので、すべて自分で完結させます。そういう点では、完全な個人プレーヤーです。周りのオペレーターはすべてライバル、競争相手。その人のスキルがダイレクトに数字に表れます。けっこう厳しい世界ですね。

当たり前ですが、殆どのお客様は興味がないので、要らない要らない、ガチャです。実際、名乗った後のガチャ切りは当たり前。この仕事を初めてやるオペレーターはキツイと思います。あっさりと心が折れるでしょう。私は過去に「商品先物取引」で電話帳テレコール営業や飛び込み訪問営業の経験がありましたから、この点は何とも思いませんでした。

そんなハードなセールスオペレーターですが、皆さん他人に対しては優しい人でした。内面的にとても優しい。でも、自分に対するセルフイメージは低かった。それはセールスが取れる人も同じです。多分、「私は何も取り得がないから、この仕事ならできるかもしれない。」という気持ちで応募し、入るんでしょうね。

だけど規則はうるさいし、覚えることは多いし、同時に多くの事を要求されるし、それでセールスは挙がらないとなると、どうしたってネガティブになる。仲間と愚痴ったり文句を言ったりする。けれども感情の処理をしないので溜め込んで苦しくなって辞めたくなる、ということなんだと思います。一方、セールスの成績がいい人も辞めるのがコールセンター。インセンティブや勤務条件など、より良い条件を目指す人もいますが、セールスが挙がる人はプレッシャーも大きい。期待もされるから数字は落とせない。そんな緊張や不安といった感情のガス抜きもままならずしんどい中、何かのきっかけで辞める。

初めて入った業種とは言え、社員の出入りの激しさは衝撃でした。まるで駅の改札口。入っては出ていき、入っては出ていく。

私がなぜ続いたのかというと、多分ですが、何も知らずに入ったからだと思います。その前に働いていた会社をクビになり何とかせにゃ、という状態だったので、むしろ雇ってくれて助かったという事情がありました(苦笑)。あとは、仲間の存在ですね。どんな仕事でも、お互いに切磋琢磨し合える仲間がいると元気をもらえる。加えて個人的には、湧き上がる感情を上手く処理していたので、何かあっても翌日に持ち越すことがなかった、というのも大きな理由と思います。

クレーム対応

セールスの電話なので、お客様にとっては予期せぬ無用な電話。発信しているオペレーターには今のお客様の「状態」は見えないので、当然怒るお客様もいます。クレームですね。何度もありました、私も。

特に、個人情報保護法が施行された後はけっこうありました。「個人情報保護法」という言葉が独り歩きしていた時世でもあったので、まぁ、当然かと思います。で、クレームは対応を間違うと大きくこじれます。時間も長くなる。上司がチャットでフォローしてくれますが、最終的にはオペレーターのスキルです。これは仕方ない。しかし、私の対応がグダグダで上司に代われ!っと言われると、内心は喜んだものです。

一方で、理不尽なことを言うお客様が居るのも事実。罵声ならまだしも、オペレーターの人格や尊厳を踏みにじるような事や汚い言葉を平気で言うお客様もいます。これは真面目なオペレーターには辛い。対応が終わった後泣き出すひともいます。

これは無理もありません。こんな時こそ、色々な感情が込み上がっているので、感情を出してあげる手助けがあると、その後の仕事に入り易いとは思いました。実際、クレーム対応の後、感情をこらえ切れずトイレに行って泣いてスッキリした女性の方は、その後セールスを挙げるものです。

スキルアップは大事。対応が上手くなければフィードバックも必要。でも、感情のガス抜きをしてあげてオペレーターに接すると、フィードバックも前向きに捉えられるな、と思います。

感情のガス抜き

私が働いていたコールセンターは、「オペレーター同士の飲み会厳禁」という規則がありました。理由は個人情報保護、業務上の守秘義務ですが、私は初めて聞きました。何だそれ?

私はそんな規則お構いなしに、同僚たちと飲みに行きました。率先して忘年会を企画したり、月1回定例化したり。

で、実際にどんな話になるのかというと、個人情報や守秘義務に抵触する話題なんか出ません。誰もそんな話しは興味ないから。仕事の話しといっても、途中で成約がダメになった話しやスランプから抜け出せない話しや成約取ってもフィードバックばっかり・・・といった、根底にはポジティブな方向を見た話題なんですね。理屈ではわかるんだけど、吐き出さないと溜まる一方だから、楽しく飲んでスッキリしようぜ!ということで、この企画はとても効果がありました。

だた一方で、とてもネガティブな人が居たのも事実です。いつも文句を言っている人。悪口ばかり言う人。イライラがトークに表れる人。スキルや技術は大事ですが、それをやるのは人間。こんな仕事だから、オペレーターの感情のガス抜きにも目を向けると楽になるよな・・・とは思いました。

悩みの共有

個人プレーヤーの集まりとは言っても、会社という組織の中の同じ部署で一緒に働いている仲間です。皆同じような悩みを抱えているんだな、同じ経験をしているんだなといった話しをシェアできるだけでも、人は安心します。ヒントを得ます。すると「俺もそうやってみよう!」と前向きになります。飲み会じゃなくてもいいんですが、「本音出せる場所、シェアできる機会」は、とても大事だなと思います。

飲み会厳禁などという規則を守っていたオペレーターがどれだけ居たのかはわかりませんが(笑)、飲み会ぐらいい別にいんじゃないの~とは感じましたね。

オペレーター時代に学んだこと

  • お客様の顔が見えない電話でのコミュニケーションスキル、これは大きい。会話の「間」とか、電話特有の「空気」とか、かすかな「反応」を拾って次のトーク展開に生かすとか。表情やしぐさが見える対面コミュニケーションにも役立ちます。
  • 電話でのセールストークスキル。トークの展開の仕方とか、質問を引き出す投げかけとか、テストクロージングの役目とか、購買サインの拾い方とか。会話のみだからこその戦略的な進め方というものがある訳です。
  • 個人プレーヤーの感情マネジメント。誰かにぶちまける放出もあるのだろうけど、それでは仲間が離れていきます。自分で感情を味わい、溜めずに出すというやり方を模索し、自分の方法を見つけました。今の仕事にも役立っています。

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